様々な国際交流活動

活動報告

国際交流 アメリカのコミュニティカレッジという選択肢

2015年度に本校を卒業した安田君が、アメリカの大学に編入するに至った経緯を報告してくれました。今後海外へ進学を考えている人にとっては、参考になる情報の一つかもしれません。
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アメリカのコミュニティカレッジという選択肢

浦和高校67期OB
カリフォルニア大学バークレー校経済学部3年
安田 耕大

 こんにちは。私は浦和高校67期OB・2015年卒の安田耕大と申します。私は先日、カリフォルニア大学バークレー校経済学部に編入学合格しました。この文の中に、浦和高校関係者の皆さんには聞き馴染みのない言葉が二つほど出てきたと思います。「カリフォルニア大学バークレー校」と「編入学」ですね。この記事では、この二つの言葉の意味を解説しながら、浦和高校という日本の名門公立進学校の王道と言われる進路から外れて、変わった生き方をしてしまった自分のことを少し紹介させていただこうと思います。

 まず、皆さん、カリフォルニア大学バークレー校をご存知ですか?知らない方が大変多いと思いますので、簡潔に大学の情報をご説明します。カリフォルニア大学バークレー校(通称UCバークレー)は、有名な日本人の卒業生にはソフトバンク創業者の孫正義さんがいる、世界ランキング上位常連の名門大学です。大学側は、そういうランキングでUCバークレーより上位には私立大学しかないことから「我々UCバークレーは世界一の公立大学だ。」と高らかに謳っています(笑)

 ただ、この情報から「彼は世界ランキングで一桁の大学に入るんだから、浦高時代も学年一桁順位は当たり前の秀才だったに違いない。」とか思わないでください(笑)実は私は浦高在学時、学年順位一桁どころか、理系限定でも二桁順位が取れない、全然勉強していない不真面目な学生でした。

 孫正義さんの自伝を読んだ影響で、中学校時代から「アメリカに大学留学したいなぁ」とボンヤリと夢を描いていた私は、特に留学のことは考えず、一番文武両道を過酷にやっていそうで楽しそうな浦和高校に入学しました。しかし、国公立大学進学を目指している浦和高校の周りの環境の中で、「俺が行きたいのは海外だしな。」と自分の夢に甘え、勉学を工芸・情報・家庭科以外真面目にやっていませんでした。

 その代わりに、国際的なイベントや課外活動など自分が面白いと思ったことに関しては猪突猛進でした。成績も英語力もロクになかったのにたくさんの短期留学プログラムに出願してウィットギフト校の短期派遣だけ受かったり、生徒会役員経験なしから生徒会長に立候補・当選して役員たちを驚かせてしまったり、文化祭グッズ販売の生徒向け先行販売の事前注文制度を立ち上げ総売上を激増させたりと、「お前その熱をもっと勉強に使えよ。」と言われてしまうような浦高生活を送っていました。

 そんな勉強は出来ないけど何かと印象だけ強かった自分ですが、進路選択の際、今まで真面目に勉強してこなかったツケが回ってきます。アメリカの大学に行きたくても、当時の自分の英語力ではいける場所がありません。そんな中、夏休みの期間にNIC International College in Japanという海外大学進学のために英語を勉強する学校を見つけ、親と先生へ説得を始めることにしました。基本親との三者面談を行わない浦和高校ですが、学年主任、担任、親、そして自分の四者面談を行うほど、先生も聞き馴染みのない学校に行くことを心配してくださりました。

 最終的に私はそのNIC International College in Japanに“浪人”することになりました。そこで「これが、自分の留学の夢を叶える本当のラストチャンス!」と意気込み、しっかりと英語の猛勉強をしました。その結果、首席の成績を取り卒業、そしてディアブロ・バレー・カレッジという大学に入学することができました。

 ディアブロ・バレー・カレッジとは、カリフォルニア州の北のほうにある「コミュニティカレッジ」です。コミュニティカレッジとは、一般市民にも広く開かれた安く大学レベルの教養が学べる2年制の大学です。そしてこのコミュニティカレッジの面白いところですが、ここで2年間修了すると、取得単位を持ってUCバークレーなどの4年制大学の3年生として編入できるチャンスを得られます。ディアブロ・バレー・カレッジは、私の志望するUCバークレーへの合格実績がトップの大学でした。そのため私はこのコミュニティカレッジを選び、憧れの孫正義さんが通ったUCバークレーに編入学で行こうと決意しました。

 UCバークレーの編入学出願では、コミュニティカレッジの学業成績、課外活動、そして自己表現の小論文(英語ではエッセイと呼びます)が評価の対象になります。自分の出願する学部の必修授業で好成績を維持するのはもちろんのこと、さらに自分の未来を見据えて課外活動に取り組み、自分のやったことを文章(もちろん英語)で表現しないといけません。

 私は、勉学では全てのクラスで最高評定のA(GPA 4.0)を取ることを目標にして、無事達成しました。また、課外活動では、アメリカの大学の学生会で法務担当幹部を務め、また、学内イベント立ち上げをメインの活動とする学生クラブを創立し、その種類の違った二つの仕事をメインに頑張りました。

 それらの活動の中で、私は「将来自分はどういう人間になればいいのだろうか」ということをよく考えました。孫さんのような起業家に憧れてアメリカに来たものの、課外活動中なかなかうまくいかないことがたくさんありました。その都度、「自分にはこういうこと向かないのかな」など、自分の力や性格はどうやったら生きるんだろうかということをずっと考えていました。田舎の大学なので、特に遊ぶものもなく、ずっとくすぶって悩んでいましたね。

 でも、そういう「自分を見つめる時間」を十分取れたおかげで最後には、自分はこういうところが強いんだ、こういうところを伸ばしたり使ったりすればいいんだと、自分自身についてよく知ることができました。

 前述の通り、私は渡米前は孫正義さんに憧れ、あんな人生の燃やし方がしたいと思っていました。自分はそのような組織の「大将」を目指して、自分で学生クラブを立ち上げてみましたが、組織の「大将」に必要な、決断力や決断したことをやり抜く意志、メンバーの気持ちを掴むこと、カリスマ性など、様々な点で自分に足りないものが多いことに気がつきました。もちろん、これらは鍛えていけば、遠い未来いずれ一人前になるのだとは思っています。しかし、活動中の自分の不甲斐なさにフラストレーションが溜まっていき、「これからもその自分の短所や根付いた性格を相手にし続けて、なかなか成長が遅い自分に常にイライラし、どんなに頑張っても『一人前』止まりな人生、何も楽しくないし幸せになれない。」と思うようになりました。そのように、どうにか幸せな人生を送りたいなと悩んでいた時に、自分にあって他人には無い自分の長所に明確に気づくことができました。

 その長所に気づいたきっかけは、前述の学生クラブと学生会の二つの課外活動をしていた時に、学生クラブ創立者としての活動より、学生会法務担当の仕事の方が自分が評価されていることに気づいたことです。なんで学生会の仕事をより評価してもらえているのだろう、と考えたら、学生クラブと学生会で自分の立ち位置が大きく違うことに気がつきました。クラブ活動では、自分が創立者、つまり「大将」なため、前述の通り苦しい思いをしました。しかし学生会では、自分は法律の細かいところを考えたり、周りに鋭く意見をしたり、全体に改正案をプレゼンしたり、「大将」が組織を回している中でそれを利用して改革を起こす「職人」のような仕事をしました。その仕事は、自分自身とても生き生きと、やり甲斐を持って行うことができ、周りから高い評価をいただきました。その自分の学生会での活動を分析すると、自分の長所は「細かいところに目が届き、自分が抱いた疑問・違和感・改善点などを、躊躇いなく周りや大将に伝えられる力」と「論理立てて相手の理解を得られるような言葉の伝え方ができる力」なのだと気づきました。そして、そしてこれらの長所では自分は周りに負けない、またこれらの長所を使った「職人」の仕事が自分に合う、と気づくことができました。そして、その僕が考えた組織の「職人」になれれば、自分は唯一無二の人間になれるかもしれない、自分自身に自信が持てる幸せな人生を送れるだろうと思うようになりました。

 結果、自分が孫正義さんや、歌手なら矢沢永吉さん、歴史の偉人なら坂本龍馬公に憧れていたのは、彼らにある「大将」になれる性格・個性が自分に無いから、自分に無いものに憧れていたんだなと思いました。そして、私は、いずれ彼らのような尊敬できる「大将」と共に働き、「大将」ができないことをカバーし組織を強くできる「職人」になろうと思うようになりました。苦労の末、そんな自分が知れたので、UCバークレーに送った小論文も自分自身に正直になれた良いものが書けました。

 そして今年の4月下旬、UCバークレーから編入学合格という最高のご褒美をいただきました。しっかり勉強も課外活動もして、さらに自分の夢と自分の現実・性格をしっかり見つめたことを評価してもらったのだと思います。

 この私の話を聞くと、私にとって浦和高校時代は大した経験になってないのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに私の浦高時代の勉強のほうの姿勢は、決して褒められたものではありませんし、後輩に真似してほしいとは一切思いません。しかし、私が浦和高校で好きなもの、面白いものに真剣に取り組めた日々、気の合う友達と出会い一緒に何かを目指し何かを達成する喜びを味わえた日々は、異国の地で頑張る際の自信やエネルギーとして自分に欠かせないものになっています。また、高校生の時に様々な活動に手を出したため、そこでの成功体験・失敗体験を思い返すことが、自分の強い個性・長所に明確に気づく大きなきっかけになりました。今になっても、何をとっても変わっていて面白い、また多種多様な活動が行える浦和高校に入って本当に良かったと思っています。

 浦高生の皆さん、もし自分の国内の進路に迷うことや疑問を持つことがあったら、視野を広げて世界にも目を向けてみてください。もしかしたら、皆さんが思ってもみなかった人生の選択肢や可能性が、そして皆さんが予想もしていない自分自身が、世界のどこかにあるかもしれません。

 

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環太平洋学生キャンプに参加して

私は今年の8月9日~同17日まで環太平洋学生キャンプ(Pacific Rim International Camp)に参加させていただきました。

 環太平洋学生キャンプとはどんなキャンプなのでしょうか?環太平洋学生キャンプに参加した、と知人などに言うとよく環太平洋を旅してきたのだと勘違いされますが、そうではありません。環太平洋学生キャンプは、環太平洋にある国の男子学生が日本の長野県高遠村にある国立信州高遠青少年自然の家に集結して8日間宿泊するキャンプです。今年は、世界13ヶ国(日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、香港、韓国、タイ、シンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシア)、CFA(海外キャンパー)12名、CFJ(国内キャンパー)14名、計26名が集まりました。

 キャンプでは、野外炊飯やハイキング、カヌーといったまさにキャンプという行事や、お互いの文化を紹介するために、文化紹介や、茶道、手すき和紙作り、もちつきを行いました。また、今年の環太平洋学生キャンプのテーマである「環境」をみんなで考えるために、東大生の方に来ていただいてカードゲームを行いました。どの行事もとても思い出に残っています。

 また、このキャンプは自由時間が結構あり、お互いの習慣、文化の事などを聞きあったり、トランプやあるCFAが持ってきたチェスなどでみんなで盛り上がりました。

 このキャンプで使われる言語は英語です。私はネイティブな英語に触れた機会があまりなく、最初はあまり言っていることが理解できませんでした。私は日本人だったということが救いで、初めのうちはよく同じ日本人に意味を聞いたりしていました。また伝えたいことが英語で出ず、伝わらないもどかしさを感じたこともしばしばありました。とても自分の英語力の無さを感じることができました(笑)。最後には少しは英語を聞き取れるようになったのかなと感じています。

 やはり、外から日本を見ただけでは、日本が現実とは違って見える事があるようで、あるCFAは日本に侍がまだいるもんだと思っていたそうです。

「日本に侍いるだろ?」

「いやもういないよ?」

「なんでいないの?」

「西洋の軍式のほうが強いから江戸時代に変わったんだ」

「侍は強いのになぁ…」

「でも侍のドラマならやってるよ」

 こんな感じの会話をしたことを覚えています。また、やはり日本のアニメは有名で、ナルト、ガンダムなどを知っていました。あるCFAは、お台場に行ってガンダムを撮ってきたそうです。

 このキャンプを経験させていただいて、すごく沢山のことを学べ、また沢山の良き友達をつくる事ができました。こんな素晴らしい体験をさせてくださったスタッフをはじめとする皆さんに感謝します。

 ありがとうございました。

 中学2年生から高校3年生までが参加できます。是非応募してみてください。(http://pric.org/jpn_top/
 

 

環太平洋学生キャンプの仲間たち
環太平洋学生キャンプの仲間たち

1年 安田耕大

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日韓高校生交流キャンプに参加しての感想

 僕はこの2012年の夏、7月の終わりごろ、日韓高校生交流キャンプというものに参加するため韓国に行ってきました。ちょうど竹島の領土問題が起きる1週間ぐらい前です。45日の日程で行われ、日韓の高校生計100人が環境、金融、IT、教育など10のカテゴリー別にチームに分かれて、何かビジネスとして成り立つアイテムを創造し、それをプレゼンする、というものでした。このキャンプで痛感したことは、韓国学生の圧倒的なレベルの高さです。日本メンバーも灘、筑駒、慶應義塾、早大学院、市川などなどそうそうたる学校からの参加者も名を連ねており、英語力がすごい人や科学的思考力の高い人はいましたが、強いて言うのであれば強みを一つずつ持っているだけ。それに対して韓国のメンバーにとって英語はスタンダード、強みはそれぞれが2つ以上は持っている。IT立国と自称しているだけあって、PC関係はお手の物。なかには一つの大きなスマホを無線LANのエアステーションにして他の2台を駆使するという学生もいました。さらにこちらが時間をかけて考え、日本メンバーに苦労して伝え理解を共有したことを、韓国メンバーとも共有するために一生懸命伝えたときの恐ろしいほどの呑み込みの速さ、それに対するレスポンスの速さ。そして僕らのチームのテーマである「環境」に対する多角的なアプローチ、僕らにはできないような発想力の豊かさ。そしてなによりその行動力。協力して事業を作り上げていくとはいえ、レベルの差を意識せずにはいられませんでした。これが韓国の社会、政治、経済を支えているのか、と思うと、韓国の教育のすごさを初日から味わいました。プレゼンに際しても、パワーポイントの活用法で僕が「こんなことができるのか!」と驚かされたことに始まり、プレゼン概要の作成、街頭アンケートのアイディアなどなど、斬新かつ明確で終始感心していました。ハードな教育はここまですごい人材を育成するのかと。
 
 もちろん詰め込み教育だ、日本のかつての教育だ、あるいは受験競争が熾烈すぎる、などと揶揄されたりすることもしばしばですが、ゆとり世代の僕からすれば、こういう教育でもこんなに人としてできている、日本の高校生ではあまり見られないようなグローバルな視点を持った人材が育成されるのか、とあらためて日本の教育に危機感を覚えました。と同時に、日本の優秀な人たちでも、韓国の学生でも、やはり徹夜には耐えられなかったことを踏まえると、浦高の無理難題は世界標準なんだな、と冗談交じりではありますが思いました。
 
 そして、僕がこのキャンプで強く思ったのは、たった飛行機で2時間の国に行っただけでこれほどのレベルの差を感じたのだから、他の強国、たとえば成長著しい中国、インドの学生、あるいはハーバードやケンブリッジの学生と議論したらどんなにエキサイティングなものになるだろうか、ということです。正直、韓国はすごい。日本では確かに批判されている点が数多くある。それでも、学生と交流してわかったのは、そんな国じゃない、もっと強く、もっと熱い人たちなんだ、ということです。向こうの学生にも、「日本の学生たちは韓国があまり好きではないと思っていた」という人もいて、双方にちょっとした、場合によってはかなりの誤解というか壁があるのも事実です。それでも今回のキャンプで、日本の学生も韓国の学生もあまり変わらないということを僕は身をもって学ぶことができました。もちろん近くて遠い国といわれるように、人々の考え方、地域性、文化のどれをとっても日本と全く異質であるのは間違いありませんが、頭の柔らかい、なんでも吸収できる僕らのような若い世代にとっては国の壁なんてあまり高いものではないのかもしれません。これから両国を担っていくであろう人物たちとふれあい、協力し、考え方を学びながら一つの目標に向かってひたすら全力投球するのは、ひょっとすると未来の縮図に似ているかもしれないし、僕らが社会を背負っていくと思われる202030年、もしかしたらそこで大人になった僕らが再び同じように一つの目標に向かって動いていることがあるかもしれないのです。
 
 このキャンプに参加して得られたものは非常に大きいです。世界にはもっとすごい人たちがいる、日本にだってたくさんいる。こんな人たちと議論して、ぶつかって、言葉の壁や理解に難しさに苦しんで、終わった時の感動と、日本に戻ってきたときの安堵と空虚な感じは何とも言えません。
 
 人生に何か刺激を求めている、頭をフルに使いたい、韓国の学生と交流したい、世界を見てみたい、すごいヤツらと議論したい、勉強してきたを実践で駆使したい、感動したい、無理難題に挑戦したい、将来の友になる人を見つけたい、日本全国の人と知り合いたい、将来社会を動かしたい、国際交流したい、ぶつかりたい、自分を主張したい、新しい自分を見出したいというような人は是非参加すべきです。もちろんもっと単純な動機でも構いません。とにかく参加してみてください。言いようのない感動を得ることができます。

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