高大連携ボーイングプログラム
このプロジェクトは2013年~2015年にかけて、ボーイング社が世界的に展開して行っている教育プログラムを、東京大学が「世界の将来を担うべき優れた科学者・エンジニア」を育成する事業として共同で実施しているもので、高大連携プログラムとして浦和高校や浦和第一女子高校と行って行事です。

2013年8月  第1回 「未来の飛行機を設計する」
2014年3月  第2回 「河川について」
2014年7月  第3回 「多様な文化を体験しよう-食を通じて-」
2015年3月  第4回 「情報 ビックデータを扱う」
2015年8月  第5回 「未来の飛行機を設計する」
第1回ボーイングプログラムの様子
 8月2日に東京大学とボーイング社と浦和高校による、高大連携ボーイングプログラムが行われました。
プログラムの様子は、東京大学工学部によるページでもご覧いただけます。
 
 このプロジェクトは、ボーイング社が世界的に展開して行っている教育プログラムを、東京大学が「世界の将来を担うべき優れた科学者・エンジニア」を育成する事業として共同で実施しているもので、高大連携プログラムとして浦和高校と行うこととなりました。
7月19日にこのプログラムの趣旨や生徒へ期待することなどの事前指導が行われ、8月2日の当日は、大きく分けると次のようなスケジュールで行われ、浦高生39名が参加しました。
 1 シアトルにあるボーイング社とのライブ中継による英語での質疑応答
 2 見学班A~Dに分かれて4つの研究室の見学(各班で研究内容の調査)
 3 見学班A~Dに分かれて調査内容のまとめ
  未来の飛行機のコンセプトおよびデザインを考えるうえで、必要な事項について質問し調査し、実験の目的や分かったことを考察する。
 4 デザイン班(見学班A~Dのメンバーが最低1名以上いるように班分け)に分かれて、未来の飛行機をデザイン
 5 デザイン班ごとに未来の飛行機を発表
 6 東京大学工学部 鈴木真二先生による総評とまとめ


 



1 シアトルにあるボーイング社とのライブ中継の様子
 ボーイング社への質問の一部
「What do you think is most important besides protecting human life when you make airplanes?」
「What do you think about the recent movement to miniaturize airplanes(down sizing)?」
「Will it be possible to make planes which do not emit carbon dioxide in the future?」
「What are planning to do with space development in the future? For instance is there a project for a manned flight to Mars?」

 

浦高生の質問の中には鋭いものもあり、ボーイング社からの回答も浦高生向けに特別に用意してもらった資料などもあり、白熱した1時間となりました。
(ボーイング社からの回答のスライドの一部)
 
 
2 見学班に分かれて研究室見学
 A~Dの4つの班に分かれて、飛行機に関係する4つの研究室を、それぞれが見学し研究内容を調査しました。
A班 青木・横関研究室の見学(材料・構造)
 旅客機の構造や材料についての調査・Boeing777の胴体の見学・CFRPとジュラルミンの強度の比較実験・未来の飛行機の構造(モーフィング翼・ラティス構造)の研究調査
B班 李家・今村研究室の見学(空気力学)
 飛行の原理の調査・煙風洞による翼の周りの空気の流れの観察・飛行機の翼に働く力の測定・レイクド・ウィングチップについての調査
C班 鈴木・土屋研究室の見学(制御)
 フライトシミュレータ及び航空機の舵面の説明・フライトシミュレータ体験・エルロン、ラダー、エレベーターの調査
D班 渡辺・姫野研究室の見学(推進)
 ジェットエンジンの仕組みの説明・静かなジェットエンジンの研究調査と実験(エンジンの発する音の体感など)・ジェットエンジンの観察・脱化石燃料ジェットエンジンや化石燃料ジェットエンジンに関する調査
研究室見学の様子
A班
 
D班
 
 
3 見学班A~Dに分かれて調査内容のまとめ
 未来の飛行機のコンセプトおよびデザインを考えるうえで、必要な事項について質問・調査し、実験の目的や分かったことを考察しました。
 
 
4 デザイン班に分かれて、未来の飛行機をデザイン
 計5班に分かれて、見学班A~D班のそれぞれの調査結果に基づいて、未来の飛行機のデザインを行いました。時間も限られている中で、3年生を中心に話し合い、未来の飛行機には何が必要なのかを考え、発表用の資料としてまとめました。
 
(まずは、それぞれの班で調査した内容を発表し、班員全員が情報を共有します。)
 
 
(その後、未来の飛行機のデザインを各班で議論)
 
 
5 デザイン班ごとに未来の飛行機を発表
 プログラムの最後として、各班で考えた未来の航空機のプレゼンテーションが行われました。生徒同士で活発に質疑応答をする場面もあり、プレゼンは大いに盛り上がりました。
 
 
この調査内容については、後日生徒が英語でまとめ、ボーイング社に送られます。
 このボーイングプログラムを通して、参加した生徒は実際の大学での研究を体験し、研究生活がどういったものなのかを感じ取れたようでした。また、浦高生とはいえ、普段話さない他学年との交流の中で、誰ともなく積極的に協議を進め、議論していたところはさすが浦高生と感じました。ボーイング社との質疑応答から未来の飛行機の研究発表まで、午前中で終わらせるというハードスケジュールでしたので、まだまだ議論し足りないところはあったようですが、最先端の研究ということもあり、生徒は充実した表情でした。
第2回ボーイングプログラムの様子

今回で二回目となり、浦高生44名、一女生15名の計59名が参加しました。
今回は東大工学部の知花先生のご協力のもと「河川工学」がテーマとなり、理科だけでなく地理や日本史なども取り入れながら、講義・ディスカッション・フィールドワークと盛りだくさんの一日となりました。

プログラムの様子は、東京大学工学部によるページでもご覧いただけます。

 
本日の内容
1.講義「河川に関わる地理 『川に関わる地理と歴史を学べば、国土が分かり旅も楽しくなる』」
2.講義「河川に関わる物理と生物 『川に関わる物理と生物を学べば、いきものが喜ぶ川の姿が見えてくる』」
3.グループ別活動
 ・八ツ場ダム建設についての議論(グループごとに賛成派・反対派に分かれる)
 ・水路実験で川の成り立ちを見る(研究室見学)
 ・河川に関わる海外プロジェクトについて英語で話し合う
 ・現役東大生・東大院生との会話
(1~3までは東大工学部で行う)
(移動)
4.荒川下流域見学会(赤羽岩淵~荒川~岩淵水門までを歩く)
5.荒川下流事務所にて、八ツ場ダムについての話し合いの報告と議論

 

 1.講義「河川に関わる地理 『川に関わる地理と歴史を学べば、国土が分かり旅も楽しくなる』」
知花先生による講義で、日本の地形から見た各地域の河川の違いや日本の歴史と地形との関係などが、先生が実際に撮影した写真などに基づき解説されました。
石狩川や阿武隈川、多摩川など沢山の河川の特徴を分かりやすく説明してくださり、生徒たちはメモなどを取りながら、楽しく学んでいました。

 

2.講義「河川に関わる物理と生物 『川に関わる物理と生物を学べば、いきものが喜ぶ川の姿が見えてくる』」

 
1限に続き知花先生による講義で、光合成に始まり、光の波長と川の水中の植物との色の関係、水と川底の摩擦力など物理や生物に関して話を聞きました。
Lotka-VolterraEquationによる珪藻と緑藻の増加率の話や、底面剪断力を求めることで洪水による川底の攪乱の重要性の考察など、難しい内容もありましたが、生徒はメモを取りながら真剣な表情で講義を受けていました。階段式魚道などの話にも生徒は楽しんでいたようです。

 
3.グループ別活動
4グループに分かれて、各グループが以下の活動を行いました。
 ・八ツ場ダム建設についての議論
  グループごとに賛成派・反対派のどちらかの立場にたち、八ツ場ダム建設について議論しました。浦高生と一女生で協力して議論を進めていきました。

 
 ・水路実験で川の成り立ちを見る(研究室見学)
 実際の河川の研究の様子を見せていただきました。均一な砂地に水を流すことで川の形が出来上がっていく様子を実験とコンピュータによるシミュレーションとを見学しました。

 
 ・河川に関わる海外プロジェクトについて英語で話し合う
 留学生の方に英語で河川のプロジェクトについて話してもらいました。生徒からも英語で質問が返されたりもしました。
また院生の方とのフリートークの時間も設けられました。

 
その後、東大から赤羽岩淵へ移動し、赤羽岩淵駅から荒川下流事務所までを散策しました。
4.荒川下流域見学会(赤羽岩淵~荒川~岩淵水門までを歩く)

 

5.荒川下流事務所にて、八ツ場ダムについての話し合いの報告と議論
八雲神社内にある水神社や、隅田川防潮堤、荒川についての資料館「Amoa」の見学後、荒川下流事務所内で八ツ場ダムについての話し合いの報告と議論が行われました。
様々な意見が飛び交い、熱い議論となりました。

 

 
最後に岩淵水門を見学し、今回のプログラムは終了となりました。

 
朝から夕方まで丸1日のスケジュールでしたが、高校で勉強している科目が様々な実問題に通じていることを実感できたのではないでしょうか。まだまだ議論したりないようでしたが、生徒は充実した表情でした。

第3回ボーイングプログラムの様子
7月23日に浦和第一女子高校にて、第3回ボーイングプログラムが実施されました。
このプロジェクトは、ボーイング社が世界的に展開して行っている教育プログラムを、東京大学が「世界の将来を担うべき優れた科学者・エンジニア」を育成する事業として共同で実施しているもので、高大連携プログラムとして浦和高校や浦和第一女子高校と行うこととなりました。

過去のプログラムの様子は、東京大学工学部によるページでもご覧いただけます。

今回のテーマは「多様な文化を体験しよう-食を通じて-」でした。
浦和高校からは15名、浦和第一女子高校からは9名が参加しました。
 
日本の麺文化の一つであるうどんの歴史背景等の紹介のあと、4種類のうどんを作り、それらの文化の違いなどを学びました。また、留学生とも交流し、英語のポスター作成やポスタープレゼンテーションなども行いました。
第4回ボーイングプログラムの様子
3月30日(月)に、東京大学にて第4回ボーイングプログラムが行われ、浦高生16名浦和一女生11名が参加しました。

今回のテーマは「情報」。
ビッグデータをどう扱うか、というもので、事前にGPSで記録してあった一女生の遠足、浦高生の修学旅行の班別学習での班ごとの動きをもとに、浦高生・一女生の混合チーム7班が分析し、それぞれの結果を発表することが最終課題となりました。
 
 


午前中は、講義を中心に行われました。
まず東大工学部鈴木教授より趣旨説明があった後、山崎教授、鳥海教授の講義では、ビッグデータの活用法やソーシャルネットについて、情報工学・計算科学についてのお話がありました。
大学の話だけでなく、高校までの学習内容が実際には社会でどのように活用されていくのか、今何が必要なのか、など多岐にわたる講義で、生徒も改めて学習の大切さを学べたようです。
 

昼前には、練習として一女生の遠足のデータを元に、データ分析の練習をしました。
ExcelやGoogle EarthやGoogle map、Heat Mapや様々なプログラムを元に分析の練習をして、午後の研修に臨みました。

午後は、事前にGPSで記録してあった一女生の遠足、浦高生の修学旅行の班別学習での班ごとの動きをもとに、浦高生・一女生の混合チーム7班が分析し、それぞれの結果を発表することが最終課題となりました。
 
鳥海先生から午前中に講義頂いた中で、データ分析の重要性というものがありました。
「網羅性による説得力」「主観に左右されないこと」「新しい事実の発見」の3つを原則として、様々なテーマで各班話し合いました。
時間は2時間と限られていましたが、最終的にはほとんどの班がパワーポイントにまとめ、発表に臨みました。
 
 
テーマとしては「おすすめ観光スポット」「女子高生と男子高生の行動と目的の違い」「データから見た京都高台寺の紹介と提案」「男女の旅行の違い」など、オリジナリティ溢れる発表で会場は大いに盛り上がりました。

1日ではありましたが、浦高生・一女生ともに話し合い、知識を深めることができたようです。
プログラム終了後、生徒が非常に充実した表情だったのが印象的でした。
第5回ボーイングプログラムの様子

今回は本校からの10名のほか、浦和一女、川越、川越女子、大宮の各校からも参加しました。

 
午前中は鈴木真二教授による講義のあと、川崎重工からボーイング社(米国シアトル)に出向中の航空宇宙工学科OBSkypeを介した講義と質疑応答(質問は事前課題として各生徒がメールで提出)を行いました。
 
その後、昼休みをはさんで航空宇宙工学科の4研究室(機体構造・空気力学・制御・エンジン)を1グループにつき2つ訪問しました。

午後はジグソー法的手法で「未来の航空機」についてグループで話し合い、ポスターによるプレゼンテーションをコンテスト形式で行いました。
 
各グループは異なる高校から男女混成で構成され、午前の講義や研究室訪問で学んだ内容をもとに生徒間で活発な議論が行われていました。
 また、各グループには大学院生も付き、適宜アドバイスを与えてもらったようです。
 
1日を通して、非常に充実した内容で参加した生徒の知的満足度は高かったのではなかったのでしょうか。