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校長講話

令和5年度入学式式辞

暖かい春の日差しの中に、新しい命が芽吹く、希望の春が巡って参りました。

この良き日に、令和5年度 埼玉県立浦和高等学校 入学式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない喜びであり、関係の皆様に厚く御礼申し上げます。

 

ただいま入学を許可いたしました364名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんは本校が新制高校となって第78回の浦高生となります。在校生、教職員一同、心から皆さんを歓迎いたします。

 

保護者の皆様におかれましても、お子様のご入学、誠におめでとうございます。学校を代表して、心からお祝い申し上げます。

 

はじめに、皆様に、本校の歴史についてご紹介します。

 

本校は、明治28年、埼玉県第一尋常中学校として、現在の、さいたま市役所や知事公館のあるあたり、浦和の鹿島台の地に開設されました。

その後、昭和12年に現在の浦和領家に移転し、時代で言いますと、明治、大正、昭和、平成を経て令和の今日まで、128年の歴史を受け継いでいる、県内はもとより、全国屈指の進学校です。

これまでに3万6千人を超える有為な人材を各界に輩出してまいりました。

 

本校の校訓は、旧制中学の時代から続く「尚文昌武」です。文を尊び、武を盛んにする、言い換えれば「文武両道」の意味で、勉強と心身の鍛錬の両立による人間形成を教育理念として掲げ、世界に通用する、これからの時代が求めるリーダーを育成する教育を行っております。

 

さて、振り返れば、皆さんの中学校生活は、コロナ禍の影響を強く受けるものでした。学校が休校となり、部活動や学校行事が制限され、会話もマスク越しとなるなど、不自由を強いられる場面が多かったことと思います。

 

皆さんの入学に合わせるように、5月からは、感染法上の扱いが変わり、教育活動も正常化を目指すこととなります。皆さんにとって、高校生の間にしかできないこと、高校時代にやってこそ意味のあることが、当たり前にできるよう、学校としても力を尽くしてまいります。皆さんは浦和高校を舞台に思い切り高校生活に打ち込み、存分に力を発揮していただきたいと思います。

 

それでは、入学式に当たり、高校生活を送る上で心がけてほしいことを三点お話しします。

 

一つ目は、これから始まる学校生活の、忙しさや大変さに対して、前向きに、積極的になってほしいということです。

 浦和高校では勉強でも部活動でも、また、強歩大会や臨海学校などの学校行事でも、あえて高い目標を課し、生徒たちはその全てに持てる力を尽くす、という良き伝統があります。これは、「知・徳・体」をバランスよく鍛え、知識だけではない、将来の社会で役に立つ、人間としての高い総合力を身に着けるための仕掛けともなっています。

 一方、生徒にとっては、中学校時代の生活とは異なる忙しさ、大変さを感じる場面も多いことと思います。ぜひ、浦高での生活は忙しくて大変だということを受け入れ、そのような毎日をおくることが、取りも直さず、自分を成長させてくれている、ということを前向きにとらえ、積極的な気持ちで毎日を送ってほしいと思います。

 

二つ目は、進路に向かって高い目標を掲げ、そこに向かっての具体的なプランを持ってくださいということです。

高校入試が終わってほっとしているところかもしれませんが、次のハードルに向かっての時計は既に動き始めています。高い目標を掲げること、そしてそこに至る自分としての具体的なプランを持つことが、今日から求められます。人間、掲げた目標以上の成果は得られないと言います。進路に関しては、ぜひ高すぎるくらい高い目標を掲げてください。また、一見無理と思われる高い目標であっても、「自分ならできる」という強い信念を持つことができれば、それだけで目標達成に近づくといいます。目標は高く掲げて譲らない、そして、大切なことは、目標に向かって自分の生活をしっかりと規律していくことだと思います。「今、自分がなすべきことは何であるか」を常に厳しく自分に問いながら、実りある毎日を送ってほしいと思います。

 

三つ目は、仲間を大切にしてくださいということです。

教育における最大の環境は「人」だと言います。どんな立派な建物よりも、設備よりも、そこで出会う「人」とのかかわりが自分を成長させてくれます。浦和高校で言えば、まずは高い専門性を有する、浦高での教育に誇りを持ってあたる先生との出会いがあります。そして、何といっても今、ここに椅子を並べている仲間との出会いがあります。浦和高校に通う最大のメリットは、この集団の中に身を置くことにある、と言っても過言ではないと思います。今はまだ全く知らない者同士が、3年間の中で絆を育み、切磋琢磨し、かけがえのない大切な存在となっていきます。ロールモデルとして見上げるような存在に出会うかもしれません。今まで気づかなかった自分の良いところや弱さを教えてくれる存在に出会うかもしれません。縁あって同じ時に浦和高校で学ぶこととなった巡りあわせに感謝して、ともに高め合う存在として仲間を大切にしてほしいと思います。

 

次に、保護者の皆様に二つお話ししたいと思います。

 

一つは、「適切な距離からお子様を見守ってください」というお願いです。

高校時代は子供から大人への階段を一歩一歩登っていく中で、時に痛い目にもあいながら、困難を自ら受け止め、自らの力で判断し、自らの責任で対処していくことを経験する大切な時期です。保護者として心配な部分もあるかと思いますが、信じて任せる部分を少しずつ増やしていく。とともに、お子様を見守り、お子様が直面する大変さや悩みにも寄り添いながら、ここは、というところでは、保護者としての役割を果たす、そんな距離感を心がけていただきたいと思います。

 

もう一つは、「学校と家庭との連携・協力」についてのお願いです。本校では、生徒の実態や社会の状況を踏まえ、また、これまでの伝統にも支えられた指導方針の下、一人一人を成長させるとともに、進路希望を実現させることに全力を傾注してまいります。この浦高での教育が最大の成果を発揮するためには、ご家庭との連携・協力は欠かせません。是非、学校と家庭とが車の両輪のようにしっかりとかみ合い、大きな推進力となってお子様を成長させていけるよう、ご協力をお願いいたします。

 

結びに、新入生の皆さんの、今日から始まる浦和高校での生活が実り多きものとなること、そして皆さんが浦高での3年間を通して大きく成長することを祈念しまして、式辞といたします。

 

        令和5年4月7日 埼玉県立浦和高等学校長 臼倉 克典

令和5年度1学期始業式校長講話

皆さん、おはようございます。

私は、この4月1日付をもって本校に着任しました臼倉克典と申します。どうぞよろしくお願いします。

実は、私は平成10年まで教員としてこの浦和高校に勤務していました。数えると20数年ぶりとなります。皆さんの生まれる前かと思うと感慨深いものがありますが、また新たな気持ちで頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。

 昨年度はコロナ禍でこの始業式はオンライン開催であったと伺っています。

幸い、今回は集合で、対面で実施できます。

 

新型コロナウイルスについては、4月からマスク着用のルールが変わり、5月からは、感染法上の扱いが2類から5類に引き下げられ、教育活動も正常化を目指すこととなります。当たり前の高校生活が当たり前にできるようにしていきたいと思いますので、皆さんは思い切り高校生活に打ち込み、浦高生活を楽しんで、存分に力を発揮していただきたいと思います。

 

さて、皆さんは、すでにこの浦和高校で1年または2年を過ごしてきました。

今日は3年間の高校生活の途中にあるただの1日に過ぎないかもしれませんが、令和5年度の始業式、それぞれが進級して迎える、最初の1日、節目の1日です。今日の午後には入学式が行われ、難関をくぐり抜けてきた、皆さんの後輩たちが入学してきます。

 

いつもの1日とは区別して、ぜひ改まった気持ちで、また、もしこれまでの高校生活に、やり残したことや、反省すべき点があると思っている人は、今のこの、ちょっと窮屈な時間を、自分の気持ちをリセットさせる、新たなスタートを切るきっかけとして活用してください。

 

それでは、新年度を迎えるにあたり、皆さんに心がけてほしいことを2つお話しします。

 一つ目は、時間のマネジメントができる人になってくださいということです。

要は、自分の責任で自分の時間を管理してください、ということです。

 

1日24時間の時間は、誰にも等しく与えられています。しかし、その使い方は人それぞれで、時間の使い方の上手な人と、いつの間にか時間を浪費してしまう人がいます。

 

浦和高校では、尚文昌武、三兎を追う、と言うように、密度の濃い毎日を送ることが、よき伝統となっています。また、通学時間の長い生徒もいると思います。

一方、皆さんに求められる勉強のための時間の総時間数には、ここまでやればもう十分という、上限はありません。

 

そんな中、いかに時間を管理して、与えられた24時間を効率的に使うかは、高校生活の成否を分けるものともなります。

 

私がこれまで出会った高校生で、受験の直前になって、時間が余っているという話は聞いたことがありません。ほぼ例外なく、時間が足りない、間に合わない、という状況の中で、人生の岐路となるような、大切な試験に臨むことになります。

 

また、この「時間を管理する」というスキルは、将来においても、例えば仕事の割振りとか、私生活のための時間の確保とか、毎日の生活の充実度にもかかわるものだと言えます。是非、自らの責任で時間を管理してほしいと思います。

 

時間の管理と言っても抽象的ですので、今日はまずその第一歩として、簡単な2つの提案をしてみます。

 ひとつは、スケジュールの見える化をしてみてください。簡単な話です。

例えば、今日、皆さんが帰宅する時間を仮に6時とします。12時には寝るとして、その間の6時間を何に使うか、帰ったらメモを作成して、自分の時間を見える化してみてください。

 

ゲームをしたいなら、あるいは、どうしてもユーチューブを見てしまうなら、初めからきちんとスケジュールに盛り込んでください。そして、その時間は、一生懸命ゲームしてユーチューブをしっかり見る。

 そのかわり、勉強に充てた時間は死守する。なんとなく流れ去ってしまう時間は絶対に作らない。そして、最後、寝る前に、メモを捨てる前に、今日の達成度を確認する。ここからやってみてください。

 

もうひとつは、すき間の時間や何かをしながらの時間の活用です。皆さんの中には、遠くから通っている生徒もいます。毎日遅刻もせずに通っている生徒には敬意を表します。

 

時間の使い方という面から言うと、通学時間の長い生徒は不利のような気がしますが、私はそうとは思いません。例えば、電車の中の30分間を勉強に充てる、と決めてしまえば、その30分は必ず、毎日確実に確保できる大切な時間になります。

 

30分早く家に着いた生徒が、家で改めてやるのとどちらが取り掛かりやすいか、という土俵に持ち込めます。机に向かって正座して勉強するよりも、動きを入れながらやる方が定着率が高いという研究もあるようです。電車に限らず、トイレやお風呂の時間も活用の余地がありますので、工夫してみてください。

 

とにかく、時間に追われるのではなく、自分から時間をコントロールしていく高校生活を目指してください。

 

次に、二つ目です。

目標に対しては、具体的な工程表を持ってくださいということです。

これは受験に限らず、国の施策でも、会社の事業でも同じです。人生における就職や老後の設計にも通じるものかもしれません。一般的に、何か大きなプロジェクトを進める際には、まずやるべきこと整理し、スケジュールに落とし込んでいく。そして、そこに人やお金や時間などの資源を投入して、工程表に従って一つ一つのステップを進めていく。

 

そして、そのステップの一つ一つが確実に進めば、一見無理と思われるような大きなプロジェクトも、無事に完成することとなります。目標が大きくなればなるほどこのマネジメントは重要で、工程表の管理がないままに、なんとなく目標が達成されるということはありません。

 

工程表を持つこと、そして、その段階その段階でやるべきことができているか、進捗の遅れはないか、絶えずチェックし、必要に応じて軌道修正し、結果、掲げた目標は必ずやり遂げる、という手順には、学ぶところがあると思います。「活路を見出す」という言葉がありますが、皆さんにはそれぞれの活路が見えているでしょうか。これまでの自分の高校生活を振り返ってみて、おそらく皆さん、よく頑張った、精一杯やっているという手ごたえはあると思います。素晴らしいことだと思います。

 

願わくは、その頑張りは、工程表のステップを確実にこなすように、勝算のある、勝ち目のある見通しに裏付けられた、具体的な内容を伴うものであってほしいです。もし、なんとなく頑張っています、という感覚にとどまるのであれば、それは、ある意味危険だと思います。プロジェクト完成までを見通す工程表の進行管理を心がけてください。

 

私からの話は以上です。今年1年が皆さんにとって実り多きものとなることを期待しています。頑張ってください。