ブログ

校長講話

令和4年度入学式

 新緑が深まり、暖かい春の息吹が感じられる季節になりました。

 この良き日に、令和4年度 埼玉県立浦和高等学校 入学式を挙行できますことは、本校関係者一同の、大きな喜びでございます。ただいま入学を許可しました359名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは、本校が、新制高校となって第77回の浦高生となります。

 皆さんは、これまでの中学校生活を、全国的な新型コロナウイルス感染症対策のもと、多くの時間を過ごさざるを得ませんでした。授業や部活動も制限され、行事も変更を余儀なくされました。大会への参加や、修学旅行にさえも、行くことができなかった人もいたのではないでしょうか。

 そんな中、こつこつと、本当によくがんばってきました。皆さんの入学を、在校生、教職員を代表して、心から歓迎します。コロナウイルス対策は、まだしばらく続きますが、予防対策を徹底しながら、これから始まる高校生活を存分に楽しんでください。

 次に、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。

 残念ながら、感染症対策として、保護者の方は1名だけの出席という形の入学式にさせていただきました。今日のこの日を心待ちにし、ぜひ複数でと思っていらした方には、誠に申し訳なく思っております。

 はじめに、皆様に、本校の歴史について御紹介します。

 本校は、明治28年、埼玉県第一尋常中学校として、現在の、さいたま市役所や知事公館のあるあたり、浦和の鹿島台(かしまだい)の地に開設されました。

 そして、明治から大正、昭和、平成、を経て令和の今日まで、127年の歴史を刻んでいる、

県内、屈指の進学校でございます。

 そして、これまで3万5千人を超える有為な卒業生を社会に送り出してまいりました。

 本校の校訓は「尚文昌武(しょうぶん・しょうぶ)」であります。 この校訓は、旧制中学校以来、続くものです。この意味は、文を尚(たっと)び武を昌(さか)んにす、つまり、文武両道、勉強するとともに体を鍛えるという意味です。

 この校訓を、本校では教育理念に掲げ、これからの時代が求めるトップリーダーを育てるための教育を行っております。

 さて、今、世界は急激な変化に見舞われています。戦争や紛争、地球温暖化、経済のグローバル化、コンピューターなどのICT機器の発達、地球規模での人口増加、エネルギー問題、経済格差など、多種多様な課題に直面しております。

 これまでも人類にとって、環境の大きな変化はありました。しかし、今回はそのスピードが問題です。

 人類にとって、今ほど、急な変化が起きている時代はありません。さらに、この先に、どのような未来が待っているか、わずか数年後でも、分からない時代となっています。

 ところで、今回のコロナ禍では、未知のウイルスに対して、文明の限界を知ることになりました。しかし、一方では、ウイルスに対し、諦めるのでなく、人々が感染予防対策に協力し、助け合い、勉強や仕事においては、オンラインを使ってつながり、さらに、ウイルスを乗り越えるためのワクチンを開発するなど、人間のすばらしさ、可能性をも知ることになりました。

 現代では、これまでのように、社会における「よりよい指定席」のチケットを購入できるよう、ひたすら知識を詰め込んで、よりよい成績をとっていくといった、経済成長期に、当たり前のように思われていた成功モデルが、通用しなくなっています。

 もちろん、考えを深めるために、勉強して知識を獲得することは必要です。しかし、それ以上に、一人一人が、これまでの当たり前だったことを疑い、「そもそも」社会とは何か、という根本を考えることが、必要な時代となっています。

 これらのことから、教育でも、歴史的な転換点を迎える時期に来ております。今年度入学した皆さんから、高校ではカリキュラムが改訂され、これまでとは違う新しい科目や内容を学ぶことになりました。

 また、コンピューターなどのICT機器を活用して、学びを深める授業も行われます。

 皆さんは、本校で、最高の学習環境の下、最高の学友たちと出会うことになりました。

 学校生活の様々な場面で、先生や友達、先輩ととことん話し合い、自分自身の考える力を鍛えてください。浦高は、将来、日本や世界を引っ張っていくリーダーになる生徒を育てます。

 私は、優れたリーダーとは、意見の異なる他者に共感する感性を持ち、自ら考え抜いて、最適な答えを出し、そして危機の時には、先頭に立つ勇気を持って、困難な道を進んでいく、このような人のことだと思います。

 変化の激しい時代には、周囲の協力を得ながら、勇気を持って進み、間違えたと思ったら潔く撤退する、このような心構えが必要です。皆さんも三年間の浦高生活で、ぜひ、未来のリーダーとしての土台を築き上げてください。

 私は、浦高生の中から、将来、困難な病気を治療したり、予防したりする医学者や、人間のハンディキャップを克服できる、ロボット工学の博士、ディープラーニングで、人間をサポートするAIシステム開発者、世界中の格差を乗り越える社会システムを構築できる経済学者などが、たくさん出てくることを期待します。

 次に、高校生活を楽しむために具体的に必要なことを一つだけ、お話しします。それは、自分で、時間管理ができるようになることです。浦高生活は忙しいです。高校に合格してほっとした気分は今日までにしてください。これからはまず、毎日の勉強時間を確保してください。

 浦高の先輩方は、限られた時間を有効に使う方法を身につけています。皆さんにもできるはずです。勉強や部活動、行事など、やるべきことがたくさんある皆さんには、それらを適切に管理できなければなりません。

 本校では、勉強はもちろんですが、伝統ある学校行事、部活動においても、どれも皆さんが本気でチャレンジするにふさわしい、質の高さを持っています。しかしそれは、「知・徳・体」をバランスよく鍛えてもらうための仕掛けです。目先の成果ばかりを追うことなく、何十年も先を見据えてとことんチャレンジして欲しい。知識だけ詰め込まれたのでない、将来のトップリーダーとなるべく資質を身につけて欲しいというメッセージが込められています。

 次に、保護者の皆様に申し上げます。改めまして、この度は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。本日から大切なお子様をお預かりし、学校として、できる限りの教育を行い、お子様の成長を支援してまいります。

 入学に当たり、学校として保護者の皆様にお願いが二つございます。一つは、浦高の忙しい高校生活において、お子様が「高校生としての必要かつ望ましい習慣」を身につけるよう、ご家庭でのご指導をお願いいたします。

 4月から民法の改正により、成人になる年齢が引き下げられました。とはいえ、高校生の年代は、経験も判断力もまだまだ未熟です。また、高校生を取り巻く環境は、決して安心できるものではありません。そういう状況で、良き習慣を身につけさせるには、ご家庭での指導が是非とも必要でございます。

 もう一つは、本校の教育方針をご理解頂き、学校との連携協力をお願いしたいということです。生徒の実態と社会の状況を踏まえた本校の指導方針がございます。私たち教職員は、浦高の教育に誇りをもって日々全力で教育活動に取り組んでおります。必ずやお子様を、心身ともに逞しい大人へと導いてまいります。この点をぜひ、ご理解いただき、ご家庭と学校が協力して、お子様の成長を支援してまいりたいと思います。何卒、よろしくお願い申し上げます。

 結びに、新入生の皆さんが、浦高での生活を思い切り楽しみ、たくましく成長していただくことを心から願いまして、式辞といたします。

 皆さん、浦高へようこそ。

令和4年4月8日  埼玉県立浦和高等学校長 日吉 亨

一学期始業式

 おはようございます。私はこの四月に本校に着任いたしました日吉亨と申します。

 歴史と伝統のある浦高で、皆さんにお会いできたことをとてもうれしく思います。どうぞよろしくお願いします。

 今日は、本来ならば、体育館で皆さんと、対面でお話したかったのですが、感染症対策のため、残念ながらオンラインでの始業式とさせていただきました。

 さて、令和4年度の始まりとなりました。先ほどの着任式で紹介した教職員が加わり、新しいスタッフで県立浦和高校がスタートします。この春休みは、毎日のように部活動や勉強などで頑張っていた生徒がいました。ご苦労様でした。

 今日は、第1学期の始業式にあたり、2点、お話したいと思います。

 1点目、新型コロナウイルス感染症対策について、です。

 昨年度の、4月20日に、県内2つの市に対して発令された、まん延防止等重点措置が、夏休み中の8月2日に緊急事態措置に変わり、9月30日に解除されるまで続きました。

 その後、秋には小康状態でしたが、年が変わり、今年の1月21日に改めて、県内全市町村に対し、まん延防止等重点措置が発令され、それが3月21日の解除まで続きました。 

 その結果、昨年度は述べ224日、1年間のうち約6割が、まん延防止か、緊急事態になっていたことになります。そのような中で、生徒の皆さんには、授業や部活動、または行事において、感染予防対策を徹底し、工夫して学校生活を過ごしていただいたことに、本当に感謝しています。

 しかし、今年度においても、引き続きコロナとの戦いは続きます。春先になって若者の感染が増加しています。COVID-19の特徴としては、症状が出た瞬間が、他人に感染させる能力のピークだと言われています。

 過去において発生した、集団感染の事例では、初めに症状が出た人が「花粉症かな」程度に考えて、そのまま部活動に参加していた、などの例がありました。

 発熱などの風邪症状がある場合には勇気を持って休む。いわゆる三密を避けて、外出の際にはマスク、会話ではマスクをつけて、締め切った体育館などの場所では換気をする、これらを留意してください。

 これから部活動の大会の季節でもありますので、是非、皆さんで自分の部活は自分で守るという意識を持ち、感染予防対策を徹底するようお願いします。

 2点目、今年度、皆さんに期待すること、についてです。

 私は、本校に赴任してすぐに、何名かの先生にお話を伺うことができました。県内の特に優れた先生が集まってきている、この浦高の先生方が、同じようにお話してくださったのが、浦高としての独自の教育についてでした。

 浦高は他の高校とは違う、一人一人を大人として扱い、自主自立性を育てる。校訓である尚文昌武(しょうぶんしょうぶ)、守破離、三兎を追う、いずれも浦高ならではの教育理念を表しています。単なるスローガンにとどめることなく、その本質を考えてみてください。

 浦高は、世界で活躍する、グローバルリーダーを育成する学校です。高みを目指し、第一志望を譲らず、果敢にチャレンジしましょう。

 ところで、皆さんはリーダーに必要な資質・能力とは何だと思いますか。

 私は、これまでいろんなリーダーを見てきましたが、大きく3つの資質が必要だと思っています。その3つとは、知性、共感、勇気です。

 1つめ、知性とは、情報を収集する力と、それを分析する力、そして表現する力のことです。

 プロジェクトを管理することをマネジメントと言いますが、一般的に、マネジメントの資源は、ヒト、お金、モノ(道具)。加えて、情報、その他、時間や、人間関係、最近は、健康というのも、資源に含めることがあります。

 これらを用いて、達成したいプロジェクトを進めるわけです。受験勉強もプロジェクトの一つです。

 目標を設定したら、情報の収集力、分析力が大切であり、それをもとに進み具合を管理することが重要です。部活動や行事においても同じことが言えます。

 次に、2つめ、共感は、とても大切です。

 リーダーは時に仲間の意見が割れたときに、厳しい決断をしなければなりません。しかし、少数意見の者を切り捨てるのではなく、納得はしないかもしれないが、自分を信じてついてきて欲しい。決して、あなたを見捨てない。このような姿勢が大切です。そうでないと、仲間の間で深刻な対立を生んでしまうことにもつながりかねません。

 最後に3つめ、勇気です。

 これまで誰かが走ってきた道を走り続けるのは、比較的リスクは少ないでしょう。隣の人と同じことをすれば安心感があります。しかし、ファーストペンギンと言われることがあります。これは、冷たい海に一匹のペンギンが飛び込むと、仲間がそれに後からついていくことを言います。特に日本人は、いい意味でも悪い意味でも同調性が強いと言われます。

 これからの時代、正解のある課題は少なくなっています。もちろん無茶なことはだめですが、「えいやっと」冷たい海に飛び込む勇気を持つことも、時には必要です。

 まとめますと、知性、共感、勇気、皆さんは、このリーダーに必要な3つをしっかりと頭に入れておいてください。 

 結びに、皆さんの中にも記憶にある人もいると思いますが、今年の2月に行われた北京オリンピックのフィギュアスケートで、男子シングルに出場した羽生結弦選手が、試合後に行われた記者会見で、フリーの前日の練習で、足首を痛めて痛み止めの注射を打ちながらも挑んだ4回転半ジャンプについて、次のように振り返っていました。

「僕の中ではある意味、納得して満足した4回転半だったと思う」

 正直な話、今まで4回転半のジャンプを跳びたいってずっと言ってきて、目指してた理由は、僕の心の中にいる、9歳の自分がいて、あいつが跳べってずっと言っていたんですよ。ずっとお前下手くそだなって言われながら練習していて、でも今回のアクセルはなんか褒めてもらえたんですよね。一緒に跳んだっていうか。

 このようなことを話されました。少し離れたところから自分を見つめてみる。これをメタ認知と言います。本当に自分のやりたいことは何なのか。羽生選手のように、皆さんの中にも「15歳の自分」がいるのではないでしょうか。

 皆さん、15歳で浦高に入学したあなたが、今のあなたに何と語りかけていますか。今のあなたを褒めてくれるでしょうか。頑張ってるねと言ってくれるでしょうか。是非、入学した時の気持ちを忘れずに、今年度も、いろいろなことにチャレンジしてください。

 ところで、今日の午後には、入学式が行われます。明日は対面式です。式典だけでなく、会場設営などで協力してくれる生徒には感謝します。皆さん先輩として1年生への指導もよろしくお願いします。

 最後に、今年度1年間、皆さんが、健康で元気に学校生活を頑張ってもらうことを期待して、私の講話を終わりにしようと思います。ありがとうございました。

 

令和4年4月8日 埼玉県立浦和高等学校長 日吉 亨