ブログ

校長講話

第三学期終業式

 令和三年度も、今日で終わりを迎えます。

 振り返れば、今年度も一年を通してパンデミックによる制約を受け続けました。したがって、君たちには未だに制約のない浦高生活を経験してもえらえずにいます。ただ、それでも今年度は臨海学校、強歩大会、修学旅行、体育祭、文化祭と、制限はあってもかなりの行事を経験してもらいました。なので、これで浦高の伝統行事も何とか君たちに継承してもらえると思っています。さすがに丸二年を過ぎて、そろそろこれからの日常の姿が見えてくる頃です。来年度は、コロナ以前と全く同じとはいかないまでも、ほぼ日常の浦高生活を満喫してもらえるのではないかと期待しています。

 

 さて、毎年この時期は、大学入試の結果にメディアの関心が高まりますが、三年次生は東大をはじめ、京大、東工、一橋、東北、更には医学部等々、多くの大学への合格を決めました。全体として、とてもよくやったと思います。もちろん、あと一歩届かなかった生徒も多数いました。本気で勝負した分、本当に悔しい思いをしたはずです。でも、その経験がその人を強くし、次のチャレンジへと向かうバネになる。そういうものです。

 その三年次生も、先日立派に卒業していきました。4月からは新たな新入生を迎え、君たちに浦高生活をリードしてもらうことになります。

 

 思うに、時代とともに浦高を取り巻く環境や、世の中の進学校への見方が変わってきています。OBは昔と今を比較してあれこれいうかも知れないが、何もかもが昔のままがいいわけがない。ただ、これが肝心なことだが、浦高は地方の伝統ある進学トップ校として、本来の在るべき姿をブレることなく追い求めている、全国でも数少ない凄い高校です。君たちが、高校選択をしたときには、その凄さなど全くわからずに選んだのだろうが、浦高を選んで大正解です。きっと、卒業までにはその凄さが少しはわかってもらえると思う。全国広しと言えども、今ではこんな高校はそうそうありません。

 

  そこで、年度末にあたり、浦高生の在るべき姿について確認しておこうと思います。

  まずは、先ほど言った大学入試の結果について。74回生が、あるいは昨年の73回生が、このパンデミックの中でこのような結果を出せた理由は何か。世間はいろいろ言うが、端的に言えば、普段なら期待できるサポートやサービスが十分受けられない状況でも、自分の力で受験準備ができたから。様々な制約が続いても、メンタル面を含めセルフコントロールがしっかりできたから。それが最大の要因だといって間違いないと思う。自分で何とかする術を身に付けていることが難関大学での結果に直結した。これがまずひとつ。

 

 ふたつめ。大前提として、浦高には校則がない。校則がないということは、君たちの振る舞いを原則規制しないということだが、それはなぜか。それは、規制しなくても、概ね自分で適切に判断行動ができるのが浦高生だからです。自分で考えることができる、自分の好きにさせてほしいと思う。そういった自主的、自立的な精神と、それを実践するための基本的スキルが身に付いているのが浦高生、ということです。しかも、入学時点ですでにそうなっているはずだから、浦高には校則がない。

 ただ、今は、子供を取り巻く環境がよくない。というか、よすぎる、恵まれすぎているといった方が正解かもしれません。しばらく前までであれば、高校生にもなると、自分の身の回りのことは自分がしなければ誰もしてはくれませんでした。しつけと言われるようなことは、中学校までで終わりでした。興味あることは、本を読んで知識や知恵を自分のものにしたし、スポーツも、多くは自分たちで工夫して、遊びや練習の中で力をつけた。勉強の仕方だって、当然自分で工夫して自然に身に付けた。知的好奇心やわからないことへの対処法だって、誰でも中学までには大方身に付けていました。

 ところが、今は何でも面倒を見てもらえる世の中になりました。何かに頼ってお願いすれば、大概は何とかしてもらえる。でも、それを繰り返すうちに、自分で考えて判断行動するのではなく、何かに頼って言われた通りにやるという思考になる。そうなると、依存心ばかりが膨らんで、結局自分自身に本来の力がつかなくなる。そんな環境が、今の君たちの周りにはある。

 

 そんな実態が新入生にはあるから、浦高もその現実を踏まえ、一年次ではまずやり方を教えるし、課題を課したり、小テスト、再テストをやるようになっている。君たちに、浦高生としての基本を身に付けてもらうに必要な基本、つまり「基本の基本」がないから、でもそうやって浦高生活に絶対に必要な「基本の基本」がないままだと君たちが困るから、だからやっている。この浦高生の前提となる基本が身に付いていなければ、浦高生活での実践も応用もないことくらいは君たちもわかるだろう。本来の浦高生活とは、この「基本の基本」を土台として、浦高生になってから身に付ける「基本」を積み上げる生活を指す。だが、今の君たちは、「基本の基本」と、浦高生になってから身に付ける「基本」とを、両方同時に身に付けることになるから忙しい。そのかわり、これらの「基本」を身に付ければ、これまでの浦高OBと同じように、自分で何とでもできる地力を、君たちは手に入れたことになる。

 そして、この浦高生としての「基本」が身に付いてさえいれば、たとえ今の成績が振るわなくても、その後その気にさえなれば何とでもなる。でも、小手先で取り繕ってそこそこの成績をとっても、浦高生としての「基本」が身に付いていなければ、その後の伸びは期待できない。

 本来、勉強でどの教科をどれくらいどうやるかは、君たちに任されている。一日をどう使うかも、どの教科に時間をかけるかも、君たち自身の責任で決めるべきことだ。勉強は、課題があるからやるのではなく、自分でやろうと決めてやるものだ。そうならないと、本当の意味での力がつかない。だから、君たち全員に、一日も早くそうなってもらうことを願いつつ、先生たちは課題を課してきた。

 

 勉強でも、部活動でも、趣味でも、言われた通りにやっているうちは、うまくなるのも、強くなるのも、力がつくのも、たかが知れている。そうではなくて、自分で考えて、自ら進んでやるからこそうまくなるし、伸びるし、目標も達成できる。浦高生が毎年大学入試で立派な結果を出せるのは、そういうことです。

 だから、君たちも一日も早く自分でできるようになって、自分の好きにやり始めたまえ。自分の判断で、時間を有効に活用したらいい。例えば、浦高の授業は、生徒と先生の真剣勝負の場だとよく言われる。それは、君たち生徒の立場で言えば、いい刺激を受ける場として、自分の学びをチェックする場として、学習のペースメーカーとして、積極的に活用するものであって、やらされたり、何とかしてもらおうと頼ったりするものでは決してない。

 そのことを、肝に銘じて、来年度は新入生に本当の浦高生活を満喫する君たちの姿を見せつけてやって欲しい。このことを、強くお願いしておく。

 

 浦高生というのは、卒業後は自分で何とかできる、何とでもなるという、密かな自負と自信をもって卒業していくものです。君たちにも、ぜひともそのような密かな自負と自信をもって、卒業してもらうことを心から願っています。そのためにも、年度の変わるこの時期に一度自分をしっかり見つめ直し、気分一新新年度を迎えてほしいと思います。

 

 4月になれば、新入生に君たちが背中を見せることになります。浦高生として、その在るべき姿を体現してくれることを心から願って、終業式での浦高校長としての私の最後の話を終わります。