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校長講話

3学期始業式

 新年を迎え、3学期がスタートしました。

 新型コロナウイルス・パンデミックによる感染拡大がここにきて再びひっ迫した状況となり、埼玉県を含む一都三県には明日にも政府から緊急事態宣言が発出される見通しとの報道がなされています。本校では、すでに今日から始業を一時間遅らせる措置を取っていますが、いずれにしてもまだまだ感染防止のために各個人一人一人が我慢すべきことは我慢し、できることをしっかりやっていくことが求められます。 

 

 さて、今年は丑年です。「牛」は古くから人々を助けてくれる大切な生き物で、大変な作業を最後までこなす働きぶりから、丑年は「我慢」を表す年とも言われているそうで、このことから、丑年には先を急がず目の前のことを着実に進めることが、将来の成功につながっていくとされているのだそうです。

 そこで、今日は「丑年には先を急がず目の前のことを着実に進めることが、将来の成功につながっていく」というところに注目してみたい。

 

 年末に、同期の仲間4人が雑誌の取材で訪れてくれました。それぞれ、バスケットボール部、サッカー部、ソフトテニス部、数学部のOBで、卒業以来の浦高への訪問とのことでしたが、4人とも今や各界を牽引する4人である。その彼らが、浦高で大事なこととして次のようなことを言っていました。

 「『志』は高く持ち、自分で考える力とセルフマネジメント力を磨くべきだ。」

 それから、後輩である君たちへのメッセージとして次のようなことを言ってくれました。

 「浦高生は口に出さなくても胸に秘めたものを持っている。それを大事にしてほしい。」

 「やることにはベストを尽くせ。そして、今しかできないことをやれ。」

 「何をやっても何とかなると思ってよい。卒業してからもしばらくはいろいろあるかもしれない。それでも、それなりの年になる頃には、皆それぞれの世界で立派に活躍している。そういうものだ。浦高生なら大丈夫だ。そう思って、自信をもってチャレンジしてほしい。」

 

 直近のではないが、以前見た卒業生アンケートで、浦高生活に満足していないと答えた卒業生の理由のほぼすべてが、浦高生活に積極的に送ることをしなかったから、あるいは送れなかったから。もっと思い切り楽しんでしまえばよかった、という内容だったと記憶しています。

 3年次生は、受験間近となってきました。コロナ禍での準備で当初の想定からは変更を迫られたかもしれないし、精神的にきつい部分もあるでしょう。でも、その中でベストを尽くす経験が、君たちを将来成功に導くはずである。今は、自分を信じてやるのみである。

 1・2年次生も、まだまだ制約のある中での浦高生活となるかもしれない。でもこの環境の中で自分をコントロールしてみる。自分でやると決めて、ベストを尽くしてみる。やってみてうまくいかないときには、軌道修正すればいい。文字通り、「試行錯誤」の格好の機会が得られたのかもしれない。

 

 卒業までの浦高生活に、自分なりにベストを尽くそう。「余裕」を持て、そして「試行錯誤」せよ、である。

 

2学期終業式

 今年も残すところわずかとなりましたが、結果的に新型コロナウイルス・パンデミック対応に明け暮れた一年となってしまいました。この年末年始における感染拡大の危機感がまた高まっており、学校にも部活動の活動中止などの対策が取られることとなりました。来年もしばらくはこの事態が続くことは覚悟しておかなければなりません。

 コロナ禍でいつも通りのことができない中でも、浦高生ならばいつも通りにできないならばその代わりにどうするか、何ならできるか、この危機をどう生かそうかと前向きに「臨機応変」に対処しようとしていることと思います。というより、それができなければならない。

 ところで、この「浦高生ならば」とはどういうことなのか。君たちが生活している浦高の生活環境の視点で少し話してみようと思います。

 

 浦高が君たちに提供している環境を簡単に言えば、自主性を重んじる自由さと国内最高レベルの生活環境である。自由さを認めているのは、校則がないことからもわかるように、自分で適切に判断できると浦高生を信用しているからである。また、国内最高レベルの生活環境というのは、もちろん施設面での環境ではない。勉強はもちろんとして、部活動も学校行事も、やろうと思えばどれも高校最高レベルのチャレンジができる環境があるという意味である。

 これは、時代の求めるリーダーとなるべき浦高生にこそこの環境が必要であるし、この環境でこそ様々な経験から力をつけてもらえると信じているからに他ならない。君たちはこのくらいの環境は当たり前と思っているかもしれないが、全国広しといえども、こんな環境を享受できる高校生はそうはいない。だから、ここで高校生活を満喫している浦高生ならば、コロナ禍でも前向きに臨機応変に対処できる力が身に付いているはずなのである。そして、のちにはどんな危機に直面しても「臨機応変」に対処できるタフで骨太な人物に、君たちは成長していくのである。だから、改めて言うが、君たちにはこの恵まれた環境を使いこなして、浦高生活を満喫してほしいと思う。

 

 そこで、浦高生活を満喫するうえで肝に銘じておいてほしいことを二つ。一つは、自由を享受するのだからそれに伴う責任もしっかり果たすこと。責任の取れないことはしてはならない。

 二つ目は、やることは「自分でやると決めてやる」こと。「やれと言われたからやる」ではだめである。自分で決めてやるからこそ、本気になれるし大きな成果に結びつく。そのことを忘れないでほしい。先生方はやろうとする君たちの背中はいくらでも押すつもりだが、手を引いてあげるようなことはしない。それが高校というものである。

 

 それから、これは普段の浦高生活ももちろんだが、受験勉強や卒業後のキャリアを視野に入れてのアドバイスとして聞いてほしい。人は誰でも、どんなに多忙であっても心に「余裕」がないとその能力を最大限発揮することはできない。余裕がなくなると、思考するにも、判断するにも、行動するにも、ミスが起こりやすくなるなど、ろくなことにはならないものである。だから、忙しくても常に「余裕」を持てるよう、生活とメンタルのマネジメントをしっかりすることが肝要である。

 それから、人も、物も、何をするにも、その取組の過程でタフさが担保されていないと、思わぬ事態が起こっただけで一気にすべてが壊れてしまったりする。そして、そのタフさを担保するには、小さな失敗を繰り返すことを含め、様々な想定に対処すべく、取組の過程で精一杯「試行錯誤」することが何よりも大切である。

 だから、常に「余裕」を持て。そして「試行錯誤」せよ。ぜひ意識してみてほしい。

 

 感染防止の観点からも、自己免疫力を良好に保つことはとても重要である。体調には十分留意して、元気で良いお年をお迎えください。

 

2学期始業式

 2学期になる頃には新型コロナウイルスの感染拡大も沈静化しているのではないかという、淡い期待は見事に裏切られました。状況は改善の見通しが立たず、長期戦を覚悟しなければならない。

 引き続き感染拡大防止の対策を個々の責任でしっかりとりつつ、制約のある中でも充実した生活を続けていかなければならない。

 

 今日は人生ただ一度の高校時代をどう過ごすか、浦高生に期待していることをお話ししたい。

 ご存じのとおり、浦高は今年創立125年目を迎えている。聞くところによると、大宮公園も今年が開設125年目だそうだ。当時は、東京近郊の代表的な避暑地として知られ、正岡子規、夏目漱石、樋口一葉らも訪れていたそうだが、そのころすでに浦高、当時の浦中はあったわけである。その長い歴史の中で、浦高教育を表す言葉がいくつもあるのは知ってのとおりだが、注意すべきは言葉が先というよりも、実践が先で言葉は実践を表現したとみるべきだということである。「尚文昌武」は第二代校長の藤井先生がつくられた言葉として今に受け継がれているが、実は途中で忘れ去られた時期もあった。でも言葉が忘れ去られた時期でも、その教育理念は変わることなく受け継がれて今に至っている。

 

 「三兎を追え」という言葉は、正しくは前に「少なくとも」がつく。この言葉が言われ始めてまだ十数年しか経っていないが、この言葉の云わんとすることは古くから当たり前に実践され続けている。

 浦高生は能力も将来の可能性も極めて高い。様々なことに関心を持ち興味の対象も多く、やりたいこともたくさんある。高校に入った以上、勉強するのは当たり前だが、人生ただ一度の高校生活でやりたいことを我慢して勉強だけに費やすのではもったいない。限りある時間の中で、様々なことに思い切り挑戦し取り組むことが、将来のキャリアにも人生にもかけがえのない財産となるはずである。

 だから、浦高生は勉強、部活動、学校行事はもちろん、趣味や遊び、芸術や特定の専門分野など、その人なりの興味や関心のある対象に深く入り込んでみたりもする。そして、仲間同士で興味の対象に関する話をすることが、さらなる興味の対象の発見となったり、視野を広げるきっかけとなったりと、実に刺激的な機会となる。こんな三年間を過ごせる高校は、浦高以外にそんなに多くない。そんな浦高生活を満喫するように、そしてやるなら本気で挑戦せよというメッセージも込めて、「少なくとも三兎を追え」という言葉が生まれたのではないかと思う。

 ただ、やりたいことがたくさんあるのに時間は限られている。といって時間がないからやりたいことを三年間我慢するのではもったいない。だから、浦高生は自分なりに時間をコントロールする。勉強に時間をかけすぎないよう、勉強の効率を追求する。全てを100%は無理なのだから、自分なりの優先順位を考え、加減を調整する。そうやって、高校時代になるべくたくさんのことがやれるよう、時間をコントロールする。受験準備を意識し始めれば、学習への時間配分は自ずと大きくなる。

 浦高生たるもの、様々なことに興味を持ち様々なことにチャレンジしなくてはもったいない。そのためにも、自分なりに時間を管理しコントロールせよということである。

 

 コロナ禍だからといって、できないことを嘆くのは建設的ではない。自分なりの興味や関心のあることに中に、やれることはいくらでもあるはずである。時期とタイミングを考え、自分なりに時間をコントロールして、様々なことを実践、チャレンジしてみる姿勢が何よりも大事ではないか。

 君たちにとって、いい2学期となることを願っています。

 

令和2年度入学式式辞

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。令和となって最初の浦高入学生である皆さんは、新制高校となって第75回の浦高生です。当初の予定から2か月遅れとなってしまいましたが、浦高教職員を代表して、心より歓迎するとともにお祝いを申し上げます。

 

 本校は明治28年、埼玉県第一尋常中学校として浦和の鹿島台の地に開設され、明治から大正、昭和、平成、そして令和と、125年の歴史を刻む県内屈指の伝統ある進学校です。これまで3万人を超える卒業生を世に送り出し、旧制中学校以来の校訓である「尚文昌武」、文を尚び武を昌んにす、を教育理念に掲げ、これからの時代の求めるリーダーを育てる教育を行ってきています。

 

 さて、今世界は気候変動など地球自然環境の急激な変化、少子高齢化や地方の過疎化、生産年齢人口の減少などの社会課題への対応、AIやIoT、ビッグデータといった新たな価値の創造など、これから先がどんな時代なのかが見えない、劇的な変化の只中にあるといっても過言ではありません。

 そこに、今回の新型コロナウイルス・パンデミックという過去100年に人類が直面したことのない緊急事態がおこりました。「民主主義」や「市場経済」を根底から揺るがす危機とさえ言われるような事態です。したがって、現代を生きる我々は、こうした危機を乗り越えて劇的な変化の中で、新たな世界や社会を構築していかなければなりません。では、その役は誰が引き受けるのか。もちろん、今まさにその任にある大人世代は、その責任を果たすべくベストを尽くしています。でも、新たな世界や社会の構築には、文字通り新しい発想が求められることになるでしょう。だとすれば、未来に向かって新しい時代を切り拓き、新しい時代の価値を創造していく役割は、若い人に担ってもらうしかありません。これから先の時代は、皆さんのような若い人に託されているのです。

 この役割が担えるかは、柔軟な頭で新しいものの見方ができるかどうか、秘めたる情熱と豊かな教養を持って、たくましく豊かに成長していくことができるかどうかにかかっています。ですから、皆さんには3年間の浦高生活で、ぜひともその土台を築き上げてもらわなければなりません。

 

 そこで、今日はそのための心得として、「基本」をしっかり身に付けよ、と申し上げたい。

 ここでいう「基本」とは、人生を切り拓いていくためのベースとなるものすべてであり、知識とスキルの両方を含みます。広い意味での「教養」あるいは「リベラルアーツ」といってもいいものです。よく言われるように「自分の頭で考える」ことの大切さは、皆さんもよくわかっているでしょう。でも、自分の頭で考えるには、物事を正しく判断すべく、思考を深めていけなければなりません。それを可能にするには、十分な語彙力と幅広い基礎的な知識が必要です。知識や思考力の獲得には、忍耐力や意欲といった目標の達成に関わるスキルがものをいいます。また、ヒトは社会的な生き物ですから、様々な関わりの中で正しく判断し行動する上でも協調性や共感性といった他者との協働に関わるスキルが必要不可欠です。さらに、豊かな心をもって人生を切り拓いていくには、自尊心や自信といった情動の制御に関わるスキルが欠かせません。これらは「非認知的スキル」といわれるものですが、これも身に付けておくべき基本です。

 

 浦高には、皆さんがこれらの「基本」を身に付ける上で、最高の環境が用意されています。浦高での生活すべてを楽しんでもらえさえすれば、高校生として最高レベルの知識はもちろんのこと、非認知的スキルを含む「基本」が身に付く環境、すなわち皆さんを大人へと鍛えあげる環境がここにはあります。ですから、皆さんにはとにかく浦高生活のすべてを思い切り楽しんでもらいたい。

 ただし、楽しむコツとして次の2つに留意してほしい。

 一つ目。浦高の仲間とともに学び、切磋琢磨すること。高校でも大学でも、学びの環境として大事なのは、「何を学ぶか」よりも「誰と学ぶか」になりつつあります。浦高で出会った仲間たちと遊び、教え合い、議論し、励まし合い、助け合う。その生活こそが、皆さんにとってかけがえのない貴重な学びとなります。

 二つ目。この環境を活かすためにも、浦高生活すべてに全力で取り組むこと。勉強・行事・部活動の「三兎を追え」というのも、目先の成果ばかりを追って小さくまとまることなく、何十年も先を見据えてとことんチャレンジせよというメッセージです。もっとやれる、もっと完璧に、という気持ちが大事です。

 

 結びに、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、この入学式が当初予定された日から大幅に遅れ、規模も縮小しての開催となったことは大変残念であり、保護者の皆様にもご参列いただけず申し訳なく思っています。保護者の皆様には、浦高を信頼し、密接な連携を図っていただくとともに、力強いご支援とご協力をいただけますよう、皆さんからも伝えていただければ幸いです。 

 

 それでは、皆さんが浦高生活を思い切り楽しみ、たくましい大人へと成長を遂げてくれることを心から願い、式辞といたします。 

 

令和二年六月四日

埼玉県立浦和高等学校長 水石 明彦

 

校長よりメッセージ②

5月6日までとされていた学校の臨時休業期間が、5月31日まで延長されました。依然として感染拡大の危機にあり、緊急事態宣言期間が同様に延長されたことからも、残念ではありますが必要な措置と言わざるを得ません。もうしばらくの間は、すべての人が感染しない、感染させないことを第一に考え、可能な限りSTAY HOMEを徹底することが求められます。皆さんにも、今一度次の3点の徹底をお願いします。

 

1 不要不急の外出を控える。

2 換気の悪い密閉空間、大勢が集まる密集状態、間近で会話する密接場面の「3密」を排除する。

3 規則正しい健康的な生活を心がけるとともに、手洗い・うがい・咳エチケットやこまめな換気を励行する。

 

今、我々が遭遇している新型コロナウイルス・パンデミックにより、皆さんの高校生活と学びの環境が甚大な被害を受ける事態となってしまっています。新学期のスタートが2か月も遅れてしまうことになる。運動部の関東大会とインターハイがともに中止となってしまった。浦高も伝統の臨海学校中止を決断せざるを得なかった。その他の行事への影響も大いに懸念される。どれも苦渋の決断で残念であると同時に、皆さんにたいへん申し訳なく思います。ただ、今回のパンデミックは、過去100年でこれまで遭遇したことのない危機であり、「民主主義」や「市場経済」の崩壊の危機だとさえ言われています。皆さんは、そんな危機の只中にいるのです。

 

皆さんは、不自由で制限された生活を2か月以上も強いられ、ストレスとともに不安や焦りを感じているのではないでしょうか。こう長くなると、自らの生活を律していくのも大変です。でも、この状況を嘆いてみたところで何も生まれません。ものは考えようです。こんな時だからこそ、自分の気持ちをどうコントロールするかが問われることになります。大切なのは、ポジティブ思考です。様々な制限のあるピンチとしか思えない状況を、皆さんの将来にとってのチャンスとして活かせるように、思考と行動をコントロールするのです。この機会に、普段はなかなか読めない本をじっくりと読んでみる。興味ある分野についてとことん調べ上げてみる。あるいは、周りに頼れない環境に置かれたこの機会に、自分の学びのスタイルを確立もしくは再確認してしまう、等々。こんなに自由に時間が使える日々は、今を逃すと老後までないかもしれない。どう活かすかは、皆さん次第です。

 

それから、もう一つ。人類がこのパンデミックの危機を乗り越えることは間違いないとして、どのように対処し、乗り越えていくのか。そして、乗り越えた先にある世界はどのようにつくられていくのか、どのような世界をつくっていくべきなのか。皆さんには重大な関心を持って見守ってもらいたいし、できるならば仲間と議論してみて欲しい。なぜなら、皆さんは今この危機の只中にいる当事者であると同時に、その後の、次の世代の世界を創っていく役割が期待されることになるはずだからです。

 

6月1日には学校が再開されて、入学式も予定されています。その日からの浦高生活を存分に満喫できるよう、各自で準備を進めておいてください。

 

令和二年五月七日

埼玉県立浦和高等学校長  水石 明彦