令和8年度入学式式辞

 

うららかな春の光が大地を包み、春爛漫のこの良き日に、多数の御来賓の皆様、並びに保護者の皆様の御臨席のもと、令和8年度埼玉県立浦和高等学校入学式を盛大に開催できますこと深く感謝申し上げます。

ただいま362名の新入生の入学を許可しましたが、高い志を抱いた新入生諸君を本校に迎えることができ、教職員一同、大きな喜びを感じております。今日から始まる皆さんの歩みが、輝かしいものとなることを心より祈念しております。

また、保護者の皆様におかれましても、お子様の御入学、誠におめでとうございます。学校を代表して心からお祝い申し上げます。

はじめに、本校の歴史について少し御紹介します。

本校は明治28年、埼玉県立第一尋常中学校として、浦和の鹿島台の地に開設されました。

その後、昭和12年に現在の浦和領家に移転しましたが、今日まで130年の歴史を受け継ぐ、埼玉県はもとより全国の公立高校をけん引する進学校です。

本校の校訓は、旧制中学の時代から続く「尚文昌武」です。文を尊び、武を盛んにする、言い換えれば「文武両道」を意味します。

本校は創立以来、この「尚文昌武」の校訓のもと、「学問を尊び、教養主義を実践する」という教育方針を掲げてまいりました。

しかし、ここで言う「学問」とは、単に試験で高い点数を取るための技術ではありません。

また、「教養」とは、単なる知識の蓄積ではありません。それは、複雑に絡み合う現代社会において、物事の本質を見極め、多角的な視点から正解のない問いに立ち向かうための「心の羅針盤」であります。

​本校が目指すのは、「全人教育」を通じ、「世界のどこかを支える、時代が求めるリーダー」を育成することです。

リーダーとは、必ずしも組織の先頭に立つ者だけを指すのではありません。自分の得意な分野で、あるいは誰も見ていない場所で、誰かのために、社会のために力を尽くす人。困難な状況にあっても、自らの信念を貫き、周囲に希望を与える人。そのような人材を、私は「リーダー」と考えます。

​ここで、この三年間で、皆さんに意識してほしい三つの柱をお伝えします。

​第一に、「自走する生徒集団」の一員であってほしいということです。

本校の伝統は、生徒一人一人の自主性と、互いの深い信頼関係によって築かれてきました。

誰かに言われて動くのではなく、自ら課題を見つけ、仲間と切磋琢磨しながら高みを目指す。時にはぶつかり合うこともあるでしょう。しかし、異なる背景や考え方を持つ他者を尊重し、多様性を認め合う「人権」の精神こそが、真の信頼関係の土台となります。互いの個性を重んじ、高め合える集団であってください。

​第二に、「尚文昌武」の体現です。

勉強も学校行事も部活動も、すべてが皆さんの血肉となります。

知性を磨くことと、身体や精神を鍛えることは、決して別個のものではありません。

浦和高校にはたくさんの学校行事があります。部活動も盛んです。

学問で得た論理的思考をグラウンドで活かし、学校行事や部活動で培った粘り強さを机に向かう力に変える。この相乗効果こそが、皆さんの器を大きく広げるのです。

​第三に、「第一志望はゆずらない」という堅い信念を持つことです。

これから先、思うように成績が伸びなかったり、壁にぶつかったりすることもあるでしょう。しかし、安易に妥協し、目標を下げることはしないでください。

高い目標を掲げ、それに向かって泥臭く努力し続ける過程にこそ、人間としての成長があります。私たちは、皆さんのその高い志を、全力でサポートすることを約束します。

​本校の教職員は、常に「授業こそが教育の命」であると考え、全ての職員が不断の授業改善に取り組んでいます。皆さんの知的好奇心を刺激し、一人一人の進路実現を確かなものにするため、私たちは研鑽を怠りません。

また、本校の素晴らしさを社会に広く発信し、皆さんが「この学校の生徒であること」に誇りを持てる環境を整え続けてまいります。

​保護者の皆様、今日から大切なお子様をお預かりいたします。思春期という多感な時期、彼らは時に悩み、葛藤することもあるでしょう。学校と家庭が手を取り合い、一人の自立した大人へと成長していく過程を、温かく、時には厳しく見守ってくださるようお願い申し上げます。

​結びになりますが、

新入生の皆さん。

君たちの前には、無限の可能性が広がっています。本校での三年間が、深い教養を養い、一生の友を得て、己の志を確かなものにする日々となることを願っています。

世界は、君たちの力を必要としています。

​この学び舎で、共に歩み始めましょう。

​令和8年4月8日

埼玉県立浦和高等学校長 杉田 和明