浦高Topics

日本地理学会2024年春季学術大会 高校生ポスターセッション発表

 2024年3月20日(水祝)に東京都渋谷区の青山学院大学青山キャンパスで開催された、日本地理学会2024年春季学術大会の高校生ポスターセッションに、本校2年生(新3年生)の小川智己君、荻原佳也君、長尾一馬君の3名が参加し、ポスター発表を行いました。

 小川君、荻原君、長尾君は、総合的な探究の時間で本校2年次に行っているゼミ形式の探究活動「アドヴァイザリーグループ(アドグル)」で、地域に関する様々なデータを地理情報システム(GIS)を利用して分析する講座に所属しています。自らの問題意識に基づき、こつこつと1年間研究してきたことの成果を学術的にポスターにまとめ、他校生徒や研究者の前で発表しました。

 以下は3名の研究発表の要旨と発表時の様子です。

11 塾・予備校から見る地方都市間における教育格差 ―埼玉県川越市及び福井県小浜市を事例に― (小川 智己) 

本研究は、地方都市間の教育格差に焦点を当て、従来少なかった地方同士の比較を通じて地理的要因の影響を分析し、新規の解決策を模索するものである。具体的には、埼玉県川越市とその姉妹都市である福井県小浜市を研究対象とし、住所データを基に塾や予備校へのアクセシビリティを調査した。研究結果から、小中学生における地理的な格差は確認されたものの、学校教育や家庭での学習による補完が効果を示し、学力テストの成績には大きな差は観察されなかった。しかし、高校生に関しては、塾や予備校の豊富な川越市と比較して、小浜市ではそれらの施設が不足し、移動の難しさもあるため、共通テストのスコアが低く、大学進学への障害となっていることが明らかになった。この教育格差を解消するための解決策として、「学校教育の質の向上」、「メタバースの導入」、および「コンパクトシティの適用及び拡大」を提案していく。

12 高齢者の日常の移動手段としてのコミュニティバス ―埼玉県上尾市「ぐるっとくん」を事例に― (荻原 佳也)

 近年、自動車運転免許を返納した高齢者の移動手段として、コミュニティバスが注目されている。本研究では埼玉県上尾市を事例に、資料分析や乗車調査、バス運転手への取材から高齢者の日常の移動手段としての課題を整理する。上尾市のコミュニティバスは100円の均一運賃で市内全域をカバーしており、市民の足として重要な役割を果たしている。調査により、利用客の多くは高齢者が占めていることが分かったが、今後の物価高騰などによる収益悪化や人口減少などの理由でコミュニティバスの存続が懸念される。そこで、地域の高齢者の移動手段を守るために、コミュニティバスを地域全体で支えていく必要がある。発表者は、市民が一定金額を負担し、かつサブスクリプション制度を導入することで、運賃を値上げせずに、市内の地域交通を維持できると考える。また、民間路線バスの通らない地域のコミュニティバスを増便することで、利便性を向上させることを提案する。

13 北陸新幹線開業による観光客数の増減と増加に向けての提案  ―新潟県上越市を事例に― (長尾 一馬)

 2015年3月14日北陸新幹線延伸に伴い、新潟県上越市に新幹線駅、上越妙高駅が開業した。そこで、新幹線の開業前・前後・後3年ずつの上越市内の駅における乗降客数を算出し、市内の主要な観光地5か所(高田公園、春日山城跡、うみてらす名立、なおえつ・たにはま海水浴場)の観光客数の増減を、インバウンド等の影響を考慮したうえで調べ、新幹線開業による影響を調べた。結果、うみてらす名立となおえつ・たにはま海水浴場は観光客が減少傾向であるが、車での来客が多いと考えられるため、新幹線開業の影響は少ない。観光客の多くが車で訪れない高田公園と春日山城跡に関して、高田公園は駅から近いこともあり、観光客数が増加して開業の影響を受けたが、春日山城跡は駅から遠く、バスも少なく不便であり、第2次交通の課題が露呈した。今後はバス・電車の増便や、市が他県・他国の人向けのPR動画を作成し、情報を発信していくことが必要である。