校長講話(定時制)

定時制入学式 校長講話

【令和2年度 定時制入学式 校長式辞】

 

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんは令和となって最初の浦定入学生です。当初の予定から2か月遅れとなってしまいましたが、定時制課程教職員を代表して、心より歓迎するとともにお祝いを申し上げます。

 本校の定時制課程は、旧制の敬和中学校として昭和16年に併設され、昭和の戦中・戦後を経て、平成、そして令和と、79年の歴史と伝統を有しています。これまでに2千人を超える卒業生が、それぞれの時代の様々な社会状況の中、この浦定で学び、着実に実力を身に付け、社会へあるいは上級学校へと巣立ってまいりました。

 さて、今世界は気候変動など地球自然環境の急激な変化、少子高齢化や地方の過疎化、生産年齢人口の減少などの社会課題への対応、AIやIoT、ビッグデータといった新たな価値の創造など、これから先がどんな時代なのかが見えない劇的な変化の只中にあるといっても過言ではありません。

 そこに、今回の新型コロナウイルス・パンデミックという過去100年に人類が直面したことのない緊急事態がおこりました。「民主主義」や「市場経済」を揺るがすほどの危機と言われるような事態です。現代を生きる我々は、こうした危機を乗り越えて劇的な変化の中で新たな世界、そして社会を構築していかなければなりません。そして、皆さんは新しい発想で構築されるであろうこれから先の社会を、希望をもって前向きに生きていかなければなりません。ですから、浦定での生活では、学び、仲間と関わり合い、思い切り楽しみ、また一方で社会の厳しさをしっかり認識しながら、卒業までに社会で自立できる地力を身に付けてほしいと思います。

  今日から浦定での生活が始まります。そこで、生活していくにあたっての心得を2つ贈ります。

 一つは、「希望を持つ」ということです。これから先の人生では、もしも困難な状況、苦しい状況にあっても、皆さんはそれを乗り越えて道を開いていかなければなりません。そのためには、困難にも負けない、諦めない気持ちを持ち続けることが必要です。失敗は誰にでもあります。恐れることはありません。むしろ、失敗によって人は成長するのですから、失敗することはとても大切なことです。ところが、すぐ諦めては失敗すらできません。諦めない気持ちがとても大事なのです。そして、その諦めない気持ちを持つコツが、苦しい状況でも希望を持ち続けることなのです。我々が生きる激動の時代は、待っていても先への希望など持たせてはくれないでしょう。それでも、希望を持つことさえやめなければ、皆さんの将来への道は必ず開かれます。

 もう一つは、「自分の頭で考えるための基礎を身に付ける」ということです。当たり前と思うかもしれませんが、人は言葉でものを考えます。つまり、考えることを可能にするだけの言葉、語彙力が必要です。加えて、考えを深めるにはその分野の基礎知識がなければなりません。現代人の考える分野は多岐にわたりますから、幅広い基礎知識を身に付けておく必要があります。知らない分野に興味を持ったときに、その分野の情報を収集する方法もわかっておかなければなりません。これらの習得は、授業を中心にしっかりサポートしますから、安心してついてきてください。それから、深く考え正しく判断するには、日ごろから周りの人の話や意見をしっかり聞くことがとても重要です。自分の意見もしっかり聞いてもらい、議論をする必要もあります。つまり、コミュニケーションが大切なのです。では、周りの人と良好な関係を築くコツは何かと言えば、相手の良さを見つけることです。人を批判したり中傷したりする傾向が、特にSNS空間では強まっているようですが、それはコミュニケーションと対極をなす行為です。皆さんには、まずは浦定の仲間とお互いの良さを認め合う、そんな関係を築いてほしいと思います。

 浦定は、少人数の教育環境を活かして、アットホームで一人一人としっかり向き合える学校です。加えて、地域の企業や自治会などと連携し、外の世界とも関わりながら社会で立派にやっていける一人前の大人になることを目指してもらいます。ですから、浦定での生活においてもダメなものはダメです。あいさつをする、時間を守る、ルールを守るなどについて、浦定でも十分意識して生活してください。

 結びに、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、この入学式が当初予定された日から大幅に遅れ、規模も縮小しての開催となったことは大変残念であり、保護者の皆様にもご参列いただけず申し訳なく思っています。保護者の皆様には、浦定を信頼し、密接な連携を図っていただくとともに、力強いご支援とご協力をいただけますよう、皆さんからも伝えていただければ幸いです。

 それでは、皆さんが浦定での生活を思い切り楽しみ、たくましい一人前の大人へと成長してくれることを心から願い、式辞といたします。

 

  令和二年六月一日

  埼玉県立浦和高等学校長 水石 明彦